18.誘う
「と、殿!そんな格好で左近の部屋まで来たんですか!?
誰かに見られでもしたら…。」
大胆極まりない格好で左近の仕事部屋に入って来た三成は
左近の動揺を知ってか知らずか
恥ずかし気もなく左近を誘う。
「左近、まだ仕事は終わらぬのか?
仕事などほうっておけ。俺の相手をしろ。」
そう言って三成は、書をしたためていた左近を背後から抱きしめる。
既に臨戦態勢の三成は左近の首筋を一舐めして
着物の合わせ目から左近の胸を触り出した。
「……こりゃあ一体どうなってるんですかね。」
いつもと違う三成に動揺を覚える左近。
三成のお誘い行動が気になって仕方がないが
書をしたためつつ今日あった出来事を反芻してみる。
しかし、普段お固い三成をこんな風に開放的な気分にさせる要因は見出せなかった。
一体なにが殿をこんな風に変えてしまったのだろう。
書き終わった筆を置き、
三成の方に向き直る。
その行動でやっと自分の相手をしてくれると分かった三成は
喜々として左近の唇を奪う。
三成からの激しい口づけなど平素あるはずも無く、
左近はいつもと違う主君を味わっていたが
口腔に残る異国の香りに心当たる。
「殿、秀吉さんに貰った葡萄酒を飲みましたね?」
「ん?あぁ。
お前を待っていたのだが暇だったからな。」
平素より酒はあまり嗜まず、強い方でもない三成は
初めて飲む洋酒に悪酔いしたらしい。
しかも随分タチの悪い酔い方で。
「殿。洋酒は左近とだけ飲む様にして下さいよ。
他の奴とは絶対飲んじゃ駄目ですからね。」
とうの本人は左近の体を味わう事で精一杯らしく
生返事をして左近に愛撫を求めた。
これはもう体で言う事を聞かせるしか無いと
重い腰を上げる左近だった。